生チョコレートの魔法が解ける前に

「そ、そんなこと言ったっけ?」
「言った」

 大輝が肘をついてにんまりと笑い、私は恥ずかしくなって視線をそらした。

「そういうところ、かわいいなって思ってたんだ」
「え」

 驚いて大輝を見たら、彼の頬も赤く染まっていた。

「大輝……顔が赤いよ?」
「おっかしーな。俺も酔ったかな」
「嘘つき。このくらいじゃ酔ったりしないくせに」

 さっきの大輝の口調を真似たら、同じように私の言葉を真似て返された。

「『いやいや、アルコール度数が高いみたいで』」
「じゃあ、大輝も酔ったんなら素直になりなよね」
「うん、なろうかな」

 大輝が肘をついて手に顎をのせて私を見る。

「なによ」
「俺は有純からチョコがほしかったんだ」
「なに言ってんのよ。私のチョコなんかいらないって言ってたくせに」
「違う。有純の“義理”チョコなんかほしくねーって言ったんだ」

 大輝の言葉にハッとした。