生チョコレートの魔法が解ける前に

「や、やだもう。そんなんじゃないから」
「そんなんじゃないって、じゃあ、なに? 俺じゃないならTAIKIって誰だよ。どこのどいつだ?」
「だから、そうじゃなくて、私が熱を出したとき、大輝が看病してくれたからそのお礼っていうか……」
「じゃあ、このTAIKIは俺ってことなんだな?」
「うー……いや、なんていうかぁ」

 大輝に問い詰められて、勝手に頬が熱くなっていく。ダメだよ、私の気持ちがバレちゃう。

「あー、熱いな。生チョコの焼酎に酔っちゃったかな」

 顔がほてっているのをごまかすように、手でパタパタと扇いだ。

「嘘つけ。この程度じゃ酔ったりしないくせに」
「いやいや、アルコール度数が高いみたいで」

 酔った、と言い張る私を、大輝はまじまじと見ていたが、やがてニヤッと笑った。

「有純って酔ったら素直になるよな」
「へ?」
「一緒に飲みに行った経験上、わかってるんだ。『バイト先の雑貨店で、女子の中で一番背が高いからって裏方の力仕事を任されるけど、本当は女の子扱いされたい』とか、素直に言うよな」