「……友達、だと?」


ピタリと動き止めたキュリオが不機嫌さに眉をひそめながらアオイを見やる。


「そうですっ!お願いですから…私の為を想ってくださるなら見守っていて欲しいんです!!」


「それがスカーレットである必要性はどこにある」


キュリオの言うとおり、出会って数時間にも満たないスカーレットを友人として選ぶ理由はほとんど見当たらない。しかし…



"この紅茶は俺とアオイの物語そのものだ。
共に過ごした時間は短くても…もう互いに忘れはしない存在になれたはずだろ?"



脳裏によみがえるスカーレットの優しい声。
アオイの知るどの女神一族の女性たちとも異なり、スカーレットは侍女に扮したアオイに歩み寄ってくれた。そして、甘い口づけ…


「もう…思い出があるんです。楽しくて、穏やかな……」


(嬉しかった…スカーレットさんは相手の地位で態度を変えたりする方じゃないってわかったもの……そう。ミキやシュウと同じ)


(お父様が女神一族の女性をお嫌いな理由もそのひとつだったはず。だったら…)