「…っ!待って下さいスカーレットさん!淹れなおしますから…っ…!!」


アオイの失敗により、味も熱も落ちてしまった紅茶に口をつけるスカーレット。


そしてゴクリと彼女の喉が鳴り…それは飲み干すまで決して休められる事はなかった。


「…ん?これ砂糖入ってた?」


カップを空にし、口元の雫を手の甲でぬぐった彼女はもう一杯とばかりにポットから二杯目を注いでいく。


「い、いえ…っお砂糖はまだ…っ…」


もはや紅茶の色とは思えない飲み物がティーカップに注がれていくが、スカーレットは迷わずに口へと運んだ。



「…ほら、やっぱり甘い」



「…そんなはずな…っん…っ…」



驚いて彼女に近づいたアオイは突如唇に温もりを感じ、その正体を数秒後に理解した彼女の瞳は大きく見開かれていく。


「本当だ。アオイの唇のほうが甘い」

「…っ…」



再び重ねれられたそれに、逃げることができなかったアオイ。

"皆さんお待たせ致しました!それでは次の競技へと移らせて頂きます―――!!"




スカーレットの口づけを受けながら、"彼"の発する甘い紅茶のフレーバーの中でアレスの声を遠くに聞いたアオイだった―――。