まさかこの部屋に彼女が入ってきてるとは思わず、驚きに目を見開いたアオイ。


「ごめんなさい、そういうわけではないのですけど…」


アオイが申し訳なさそうに視線を下げた先にはいかにも渋そうな紅茶がカップの中でわずかな湯気を立てている。


「…俺こそごめん。まさかアオイが紅茶を淹れてくれるとは思ってなくて…」


眉を下げて謝罪の言葉を口にするスカーレット。
カップの淵を寂しそうに指先でなぞる仕草がなんとも色っぽい。


「…っスカーレットさんが謝る事じゃないです!私が余計なことをしてしまったからっ!」


慌てて首を横に振る必死なアオイにスカーレットの表情は更に真剣さを帯び…



「余計なことだなんて思ってない」



スッと伸ばされたスカーレットの長い指が、アオイの頬にかかる長い髪をそっと梳いた―――。