「お茶…?はいっ!もちろんです!」


「…ありがとう。楽しみにしてる」


スカーレットの爽やかな笑みにアオイもまた笑みをこぼすと二人の間に優しい空気が流れた。

アオイは時折自分で玉を投げながらも、その大半をスカーレットに渡していく。

相変わらず彼女はその軌道を乱す事なく投げ続け、
籠の中が赤色を強める頃…


しばらく青組の籠を静観していた銀色の王がようやく動き始めた。



「そろそろいい頃合いか…」


ゆっくり腕組みを解いたキュリオは流れるような動作で足元に転がる青色の玉を拾い上げると、彼は手首を数回上下させ重さを確かめ、前方高所にある青組の籠を見つめた。


(…数が少ないな)


青組はもちろん全力を尽くしていたが、彼抜きではやはり劣勢状態にあり窮地に立たされていた。

そして玉入れ経験のないキュリオは重さと距離を軽く考えた後…一歩二歩と下がり、試しにひとつ投げ入れてみる。

すると…

彼の放った青い玉は背後に青空を映しながら上昇すると、やがて綺麗に落下していき…零れ落ちる他の青を後目に籠の中へとその身を沈めていった。


「…よし」


自らが投げ入れた玉が籠に収まったのを見届けたキュリオはテンポよく次々と玉を放り投げる。

再びキュリオの周りから歓声があがり、その様子を遠くから見ていた若い剣士が焦りの表情を浮かべ少女のもとへ急いだ。