「カイ!こっちの手伝い頼めるか!?」


遠くで彼を呼ぶのは進行役を務める魔導師・アレスの声だった。


「カイ、私に手伝える事ある?」


「大丈夫です。次は玉入れなんで少ししたらキュリオ様とお集りください」


『うん…ごめんね…。お父様のご機嫌が優れないのって私のせいなんだ』


『気分で物をおっしゃる方ではないので、何かしら原因があるとは思っていましたが…そうでしたか』


『…キュリオ様のお心を動かす事が出来るのはアオイ様だけです。俺がここにいたらキュリオ様もお気を揉まれそうですのでアレスの手伝いに行きます』


『わかった。何かあったらいつでも呼んでね?』


『はい、ありがとうございます』


アオイの言葉に快く頷いたカイは遠くでせわしなく動くアレスのもとへと駆けて行った。


「…お前も少しは座ったらどうだ?」


すると、その時を待っていたかのようにキュリオの声がかかる。

その声色から顔を見なくとも彼がどんな顔をしているかは一目瞭然だった。