「…こうしても始まらないな。私もそろそろ行くとしよう」


さらに問いただせば長くなってしまいそうな気がしたキュリオは二人にそれ以上の追及は避け、アオイへと視線を戻した。


「アオイ」


「…っはい!」


透けるほどに輝いた銀髪を揺らしたキュリオがなにかを期待するような眼差しでこちらを見つめてくる。


「お前の声援は何よりも力になる。楽しみにしているよ」


言い終えたキュリオの顔が近づき…

頬にかすかなぬくもりが触れ、すぐに遠のく。


―――ドキッ


「…っ!!」

(く、くちびるがっっ!!)


「またあとで」


みるみるうちに赤く染まっていくアオイの顔を見たキュリオはクスリと笑い、穏やかな微笑みを残して颯爽と歩き始めた。


「~~~っは、はいっ…!!」


キュリオのたった一つの動作でアオイの軟弱な偽りの鎧は音をたてて崩れ落ちた。

もしかしたら彼もそれが娘の攻略法として確立しているのかもしれない。アオイの本音を聞きだすために敢えて接触を図り、誰にも入り込めないほど距離の近い甘い空間を作る。




"我等が王!キュリオ様の登場ですっっっ!!"