『…これは魔法?』

(初めて見た…蒼い炎…)


「火は怖くないか?大人しく待ってろよ」


テーブルの上に下ろされたアオイは見たこともない炎を前に興味を惹かれ、愛くるしい瞳を瞬かせながらそれに近づく。


「ほらよ。お転婆娘」


炎に近づきすぎた子猫の首根っこを背後から掴んだ青年。
アオイの体はいともたやすくもとの位置に戻されてしまった。


『あ…』


「今は飼い主が傍にいないんだ。興味あるからって近づきすぎると怪我するぞ?お前」


意味深な言葉と共に目の前に差し出された器に並々と注がれたミルク。
時折その雫がアオイの手を濡らすと、衝動的に前足をなめてしまう子猫。


「ったく…猫みたいな仕草しやがって」


『…っ!』


しょうがないな、とばかりに鼻先をくすぐられる。
敏感な部分を触れられたアオイが小さく身震いすると笑い声が聞こえた。