いくつかの階段を上がり、古城の最上階にも近い部分へ到達した頃…


「…飽きるまでここに居ればいい。お前悠久の猫だろ?」


『…ここに置いてくれるの?』


「にゃぅ…」


弱々しく漏れた子猫の鳴き声。
すると青年は子猫の不安を取り除くように頭上に掲げると、そっと己の顔にかぶせるようにして子猫の腹に顔を摺り寄せた。


「ほら…俺にお前の匂いつけてみろ。少しは安心できるか?」


『わわ…っ!!きゃぁっ!!』


本当の猫がこうされるとどうなのかはわからないが、人間だったアオイはひたすらにくすぐったくてパニック状態に陥ってしまった。

バタバタと手足を泳がせた子猫に青年は顔を離すと…




「…まだ許してくれないか?アオイ…」




と寂しそうに呟いた―――…。