「おいよせ。この国での拾いものは王に差し出すのが決まりだろ」


間一髪のところで子猫を取り上げた男の瞳が冷やかにこちらを見つめている。


『…だ、だれ?』


「黒猫しか存在しないこの国にこいつがいるという事は…どこからか入り込んだか誰かが持ち込んだか…」


彼もまた冷たいアイスブルーの瞳に鋭い牙を持っており、その視線から子猫の生き死にを別に重要視していないことが直感的にわかってしまった。


「はいはいー。王に献上すればいいんでしょ!」


こうしてどこかへと連れて行かれた子猫のアオイは、強制的にこの国の王と対面することになってしまったのだった。