『…アオイ姫』


『…っはい』


ダルドの声に顔を上げた子猫。
彼のほうを仰ぎ見るとクリーム状のスープに浸されたパンをひとかけら、そっと差し出される。


『…っ!』


『早く』


『は、はい…っ』


キュリオの様子をチラリと確認し、ダルドの足元へと走るアオイ。
すぐさま彼の手の上にあるそれに口をつけると…
舌に慣れ親しんだ旨みがアオイを優しく包んだ。


「……」


ダルドはアオイがパンを加えたのを確認するとすぐ手を引いてキュリオへと視線を戻す。


「キュリオ…?」


なかなか口を開こうとしない王の名を呼ぶと…





「…この悠久に古くから伝わる話だが…あながち迷信とは断言出来ない節があってね」





「なに?」





「…彼らが王の生まれ変わりだという言い伝えがあるんだ」