『アオイ姫…大丈夫?』


『…大丈夫です』


『……』


少しの沈黙の後、ダルドはキュリオの気を逸らそうと珍しく自ら口を開き始めた。


「そういえばキュリオ…僕、一角獣(ユニコーン)初めてみた」


「あぁ、私も滅多に見たことがない。運が良かったね」


子猫のアオイから手を離したキュリオは姿勢を正すと、静かに水の入ったグラスへと口を付けた。


「…彼らも聖獣なら僕と同じ?」


ダルドが抱いていた疑問は一角獣(ユニコーン)も元は別の何かだったのかということだ。


「…いや、君は銀狐が百年以上生きて人型へと変化した"人型聖獣"だが、彼らは……」


なにやら思うところがあるのか、そこで口を閉ざしたキュリオ。