『…?アオイ姫、なんていう食べものだっけ…』


大慌てするアオイを不思議に思いながらもダルドの意識は謎の食材へと向いているようだ。


「ダルド…まさか君が受け取ったのは…」


不機嫌さを全面に現した低音のキュリオの声。
顔を見なくても彼がどんな表情をしているかアオイには容易に察しがついた。


『お、おはぎ!!おはぎですダルドさまっっ!!』


『…おはぎ?そんな名前だった?』


疑問に思いながらも、アオイがそういうのだから…と素直に受け止めたダルド。


「おはぎ。初めて食べたけど…美味しかった」


「……」


それ以上追及しないキュリオ。
一時はうまくごまかせたと内心安堵したアオイだが…彼の沈黙は疑いをもった時こそ、よく現れる特徴のため油断できない。


(ご、ごめんなさいダルドさま…っ…)


そして咄嗟に口を突いて出た嘘に罪悪感が止まらないアオイ。
結局、手紙を読み返されたらすぐにバレてしまうため、後々正直に話す必要があるのだった―――。