「…っ!!」


猫になったアオイの嗅覚はとても敏感で、嗅いだ事のある匂いに鼻がピクリと動く。そして慌ててキュリオの顔を仰ぎ見ると…


(…もしかしたら…っ…あの方なら私の言葉がわかるかもしれない!!お父様!)


「…あぁ、彼ならいいだろう。通してくれ」


キュリオはその気配で誰が来ているのか既に把握している様子だった。


「畏まりました」


キュリオの言葉を聞いたアオイは居ても立っても居られず心地良い彼の膝を飛び降り、扉へ走る。

待ちきれずカリカリと小さな爪を立てて扉を引っかくと…


『…猫?』


鼻や耳の利く客人は早くも扉の向こうで何かを感じ取ったらしい。



『やっぱり!このお声はダルドさまっ!!』



「にゃぁっ!!」



『…君は誰?…僕を知ってるの?』



重厚な扉が開かれると、美しい瞳がこちらを見下ろしている。

そこに立っていたのは人型聖獣・ダルドだった―――。