(あ…お父様…っごめんなさい…!)


「…っ!」


パッと顔を上げたアオイと視線の絡んだキュリオは大きく目を見開いて動きを止めた。


「……?」

(どうしたのかしら…私を見て驚いているような……)


「…お前…どこから入ったんだい?」


「…?」


アオイの頭には"?"しか浮かんでこない。
自分が寝ぼけているのか、それともキュリオが寝起きだからなのか…


(ううん、お父様に限ってそんなこと…)


『お父様ごめんなさい…お疲れなのに私、いきなり起こしてしまって…』


と言ったつもりのアオイだが、口を突いて出た言葉は全く別のものだった。


「にゃー…にゃにゃ、にゃん…」

(…っ!?)


(…え?猫?この部屋に猫がいるの?)


動物好きなアオイはキョロキョロとあたりを見回すが、まったくそのような気配は見受けられなかった。


「…自分の声に驚いたのかな?」


キュリオの優しい指先がアオイの顎をスリスリと撫でるとあまりの気持ち良さに喉が鳴る。