それからまだ小鳥たちも夢の中であろう日の射さぬ時分。
二つの影が寄り添うように極上のベッドの上に横たわっている。

ひとりは柔らかそうな肌を幾分露出しながら、伸び伸びとその手足をベッドの淵に投げ出し横向きに眠っているようだ。


そしてもう一人は…


自由気ままな少女の頭の下へと腕を通し、彼女が落ちてしまわぬよう…もう一方の腕がしっかりとその体を包み込んでいた。


仮眠程度の時間が過ぎると……

シーツの海に身を委ねていた美しい王の瞳がゆっくりと開かれた。


「……」


真っ先に確認したのは愛しい者の寝姿だった。
目の前で繰り返される穏やかな寝息に上下する小さな肩。キュリオはそれを心地良く体感するかのごとく…その腕に力を込めて小さな体を抱き寄せる。


まるでボタンを掛け違ったかのように着崩れた寝間着を優しく整えてやると、無意識にその手に甘えるように縋り付いてきたアオイ。
柔らかな彼女の髪がキュリオの肌を滑れば、離れがたい彼の気持ちに拍車をかける。



(…この夜の短さは異常だな…)



キュリオは背後からアオイの髪に整った鼻先を埋めると…一度だけ小さなため息をついた―――。