「……?」

(気のせいかしら…今誰かいたような…)


部屋で待つようにと言われたアオイは、銀の縁取りが美しいリボン使いのワンピースを揺らしながら大きな窓辺へと身を寄せる。

すると…


―――ガチャ


「……」


光の降り注ぐ室内へと視線を滑らせたキュリオの探し物はひとつ。


「…何を見ているんだい?」


背後から小さな肩を越え、彼女の胸元で腕をクロスさせたキュリオは愛しい姫を胸元に抱き寄せる。


「…お父様…いま門のあたりに人影を見たような気がして…」


「…きっとガーラントだよ」


口ではそう言いながらキュリオは遠くにいる別の人物の気配を確実に捉えていた。




(…諦めの悪い二人だ…)