片付けも終盤に差し掛かった会場を歩き続けるスカーレット。
行く先々で女官や侍女たちが頬を赤らめながら彼を目で追っている姿が見受けられたが、スカーレットは気にする様子も見せず、たった一人の少女を探して足を速めた。


「スカーレット殿…」


「ブラスト、後にしてくれないか」


緋色のマントを翻しながら颯爽とあるくスカーレットにブラストが神妙な面持ちで前方に立ちふさがった。


「…なにしてる?」


「……」


「…?」


訝しげにブラストの顔を見つめたスカーレットは無言のままの友人の横を通り抜けようと一歩踏み出すと…


「アオイ殿はもうこの庭にはおられません」


「…?なんだ、お前知ってるなら早く…なら、どこにいったか教えてくれ」


わずかに安堵したような表情を浮かべたスカーレットだが、表情の硬いブラストに動きを止めた。