その後、急遽出された王の声明により城の雰囲気は一変していく。

悠久の法が事細かく記された分厚い書物を紐解いたキュリオ。彼は銀の羽ペンで新たなる定めを追加すると、最後に美しい書体でサインした。


「…初代・悠久の王は誇り高き女神一族がこうまで堕ちるとは思わなかったのだろうな…」


ため息をつきながら羽ペンを置いたキュリオ。
彼の頭脳はこの重厚感のある書物の一字一句を把握している。だからこそ開かずともわかる、女神(彼女ら)へ敬意を払うべく与えられた称号の部分に男女の括りはない。


「…法がいつの時代も変わらずにあり続ける事は難しい。長い年月を経て変わらなければならないものは確かに存在する…」


(しかし、変化の中で法が追加される場合…それに良し悪しがあるならば…)


「……」


答えは一目瞭然だった。

だが、アオイの瞳はそう訴えていなかった。あくまでもより良い悠久にするため…とその強い瞳が物語っていたのだ。