ぶつかり合ったって、きっと元に戻れる。
そんな根拠のない自信があったから、僕は君に吐き出す言葉を見つめなくなった。
傷付けないように、君の望む言葉であるようにと、優しかったはずの気遣いがいつしか棘を持ってしまった。
飛び出した言葉が君に吸い込まれていく様を、どこか遠くで見ていた気がする。
本当に君が離れて行った事を、知らずに。
不協和音こそ、奏で合って。
君と生きる世界を愛していたかった。
一人では無音しか生まれない。
君も、きっと、そうだろう。
音に溢れた世界で、君のか細い吐息を探して
色彩が暴発した世界で、君の背中を探して
君のいない日々の中で、僕は何度も心を軋ませるだろう。
見つけて、とは言わないから。
どうか、往かないで。



