たどり着いたのは昔ながらの古民家。


自分の家とは全く違った雰囲気で、落ち着かないわたしを見て、お婆さんとお爺さんは終始笑っていた。


『こんな辺鄙な場所だから人なんて滅多に来なくて』


『誰かを泊めるのは何10年振りだ』


『何のお構いも出来ないけど、ゆっくりしていってね』


そんな2人の言葉と気遣いのおかげで、夕ご飯を食べてお風呂に入って、布団に潜り込む頃にはどこか清々しい気分だった。


「あの婆ちゃん達さぁ…俺らの事なんだと思ってんのかな」


ぴったりと隣に並んだ布団を引っ張って離しながら、功がブツブツと文句を言う。


わたしだってさすがに功と同じ部屋なんて…とは思うよ。


緊張するし、それ以前の問題だ。


でもそんな事気にしてもいないお婆さん達に部屋は別がいいです、とは言い出せなくて、こんな状況。