雨音だけが激しくなって、わたしと功の間に会話はなくなった。


どのくらい、そうしていただろうか。


雨音に紛れそうなくらい、か細い声で、功が呟いた。


「俺さぁ……今でも好きだよ、お前の事」


頼りなく揺れる声音は、確かにわたしの耳に届く。


なんでこんな時に限って、雨音が邪魔してくれないんだろう。


「受験あるし…返事はいらないって言ったけどさ、もし………」


「やめてよ」


その続きまで聞きたくはない。


功をわたしの逃げ道にしたくない。


好きだよ、わたしだって。


半年くらい前、告白された時だってちゃんと返事をしたかった。


けれどわたしの夢を知っている功が言ったんだ。


『友達のままでいて、お前が大学に受かって、俺との事を真剣に考えられるようになったら、その時に返事をくれればいい』って。


ひどいよね。


今だって、あの時だって真剣に考えていたのにさ。