「頑張って…駄目だったら、わたしがしてきた事、全部無駄になっちゃうじゃん」
功が今から本気を出して、わたしが狙っている大学に行くというのなら、話は違う。
ほんの半年足らずの期間を賭けるだけなのだから。
けれど、わたしは違う。
夢を描いて、それを実現しようとしてきた何年もの時間を賭けないといけない。
そう簡単に、博打打ちして、それで失敗しましたとは言えないんだよ。
大きく積み上げるほど、慎重になって、結局壊れていってしまうのなら
少しずつ、自分の手で崩していった方が楽じゃん。
多分それが、諦めるってこと。
これ以上高く高く積み上げていったら、瓦解した時にわたしは耐えられない。
それを賭けてみろと言うのだから、功はひどい人だ。
「ちゃんと、見てるよ」
機嫌の悪さはどこへ行ったのか、真剣な顔付きで功がわたしを見据える。
真っ直ぐで、淀みなんてなくて。
西日のせいでそう見えるだけなのだろうけれど、とてもキラキラしていて。
泣きそうになった。



