「受験まででいいから、あんたの頭貸してよ」


苦し紛れにそう言って、功の肩をコツリと叩く。


「貸してやりてえけどなぁ…あ、やっぱ駄目」


「なんで」


「だって俺の頭ん中今空っぽよ?お前の頭ん中にあるもん使った方がいいよ、絶対」


別にいいよ。


テストが終わったら抜けていくような間抜けな頭でいいから、貸してよ。


ついでに、そのせいで大学落ちたら功のせいに出来るんだもん。


言い訳をいっぱい作っておいたら、あのせいでこうなったんだって、後悔の矛先を1つに向けなくて済むでしょ?


そのための保険に、大事な友人を使おうとしているわたし自身にやるせなさしか湧いてこない。