あーだこーだと夢のまた夢のような話を繰り広げていると、功がふと真面目な顔付きになる。


「まあ…あれだ、そんな生活もあるんだからさ…」


「んー?」


「諦めてもいいし、博打打ち感覚で受験してもいいんじゃねーの?」


自分で言っておいて流石にないな、とでも思っているのか、語尾が薄れて頼りない。


そんな功に何のフォローも入れずに、わたしは顔を歪めて見せる。


「博打打ちで受験って…あんたじゃないんだから」


「や、俺受験しねえよ?」


「高校はそうだったんでしょ?」


功は少しレベルの高いうちの高校に、友達に奢ってもらうという賭けで挑戦したほどの馬鹿だ。

そうして受かってしまうんだから、最上級の馬鹿。


それが、ちょっとムカつく。ちょっとどころじゃない、かなりムカつく。


わたしは大学進学まで見越して、中学3年生の1年間、気が狂うくらいに勉強したのに。


記憶力だけはいいからと偉そうに成績表をひらめかしていたのが、夏休み前の話だ。