それから10分もしないうちに、電車は終点に停車した。


販売機と改札機しかない、無人駅。


降りたのはわたしと功、それと別の車両に乗っていた老夫婦だけ。

老夫婦は慣れない景色をキョロキョロと見渡すわたし達ににっこりと笑いかけて、民家の方へと歩いて行った。


「あー!!」


「えっ、なに?」


突然大声を上げて、功がわたしの肩をバシバシと叩く。


「コンビニあったぞ!!奇跡だ!」


「あ、ほんとだ…」


飛び上がって喜ぶ功ほどではないけれど、コンビニがある事は嬉しいし、助かった。

これで知らない人の家に突撃…なんてことはしなくて済む訳だ。


最低限、食べ物さえあれば野宿は出来る。

夜になれば冷え込むだろうと思って、実はカバンにパーカーを仕込んでいたりするから。