わたしはたぶん彼女を嫌うことはなくて、
綺麗事に聞こえるかもしれないけど、
ほんとに羨ましいだけで、
嫌いだ、とは思わなかった。
もちろん、
彼のことをすぐに嫌いになんてなれなくて
どんどん惹かれていく気がしていた。
彼女と付き合い始めた彼に。
どんどん素敵になっていっているような彼に。
でもやっぱり、
わたしがまだ、
まだ、
彼のことを好きなんて、
彼女に言えるわけもなくて。
あの日、
彼女に付き合うことになった。
って言われたあの日。
大丈夫大丈夫って笑ったように。
何でもないふりをするしかなくて。
どんなに、
どんなに、
羨ましくても
悲しくても
苦しくても
笑って。笑おうって思って。
何でもないふりしたの。


