家に帰ってから。
自分の部屋に入って、
制服から部屋着に着替えて。
一息ついて。
やっと、やっと、
泣くことが出来た。
なんでよ。
ずるいよ。
悲しいよ。
好きなのに。
大丈夫なんかじゃないよ。
わたしの涙たちは、そう言って出てきた。
「なんでよ‥‥」
わたしが先に出会って、
いいところを見つけて、
好きになって、
関係は浅くても、
全部わたしが先だった。
「ずるいよ、」
彼女は告白されたから
付き合うって決めただけ。
《まだ》好きじゃない。
断るのは《もったいない》って思っただけ。
「悲しいよ、」
わたしの好きな人取らなくたっていいのに
なんで、告白されたことも教えてくれずに
すぐに付き合うことを決めちゃったの
「好きなのに、」
わたしは、
ちゃんと、
本気で、
彼の笑顔、
彼の優しさ、
彼のこと。
好きなのに。大好きなのに。
「大丈夫なんかじゃないよ」
彼女のことだって好きだけど、
彼のことだって好きなんだもん。
付き合ったって聞かされて大丈夫なわけない。