執事〈♀〉は狼たちに恋をする




正面を向き、前を見据えると。


キラキラと、まるでお姫様になったかのような感覚。


たくさんの偉い方が、今まさに私を見ている。


「名前は公にはできませんので、伏せさせていただきます。彼女が私の恋人です」


拓海くんが私を紹介する。


私はひきつらないよう、心落ち着かせてにっこりと微笑んだ。


そして鳩場さんに教わった通り、可憐なお辞儀をした。



瞬間、またもやおぉという歓声と、盛大な拍手が沸き起こった。


中にはビューティフォーと叫ぶ人まで。


寛大なお世辞をありがとうございますと言いたいところだ。


これは、一応うまくいったということかな...?