「ピピピピッ ピピピピッ」


朝。


いつも通り、元気な目覚まし時計にわたしは起こされる。


外はもう2月。


しんしんと雪が降っている。


カレンダーを確認する。


今日は2月7日、金曜日。


よし。


…よし?


何がよしなんだろう。


自分でも何故そう思ったのかわからない。


まあいいか。


さっさと身支度しよう。




「おっはよー、梢ー!」


通学路。


角からロケット花火のような勢いで元気にそう言ってきたのは、わたしの親友でクラスメイトの泉 汐音ちゃん。


汐音ちゃんとは小学一年生からの付き合いだ。


「おはよう、汐音ちゃん。」


これくらいの挨拶ならできる。


これくらいなら。


「いやー、今日も寒いねー。最近は朝布団から出るのが億劫だよー。」


すごくわかる。


「今日なんか目が覚めてから起き上がるまで1時間かかっちゃった」


それは流石にない…というか、一体何時に目が覚めたんだろう。


「お母さんがしつこくハエ叩きでふとん叩いてきてさー。それでやっと起きて、10分で用意して来たの!」


ハエ叩きて、もっと他に方法あるだろうに……

しかも10分で用意するとか、わたしには絶対無理だ…

汐音ちゃん、すごいなー……


「……………」


そう。


わたしはいつもこんな感じで、思っていることが口に出せない。


小さい頃からずっとそう。


頭の中ではいっぱいいろんなことを考えていても、言えない。


それでだんだん人と接することが億劫になってしまい、こんな風に図書室に住むようになったのだ。


でも、汐音ちゃんは、こんなわたしとずっと友達でいてくれてる。


大切な人。


きっと汐音ちゃんは、わたしの考えてること、全部お見通しなんだろうな。