諸々の法は影と像の如し

「ま、まぁ毛玉がいいならいいんだけど……。て、いやいや、それ以前に! 名の契約を交わしちゃったけど、毛玉はそれでいいの?」

 何かわからんものと、うっかり事故的に契約を交わしてしまった。
 主従関係の契約であるし、章親のほうが主になるので、どんな恐ろしいものでもそれなりに御すことは出来るから良かったものの、これが逆とか、もっと恐ろしい契約内容の呪であったらどうなっていたことやら。

 考えただけで、ぞっとする。
 陰陽師として、あるまじき失敗である。

「僕もまだまだだなぁ。正体もわからないまま契約を交わしちゃうなんて」

 がっくりと項垂れる。
 その言葉に、毛玉が結界の中で、びょん、と跳ねた。

「正体? 章親、わしのこと覚えてないのっ?」

 びょんびょんと跳ねながら、毛玉が叫ぶ。
 え? と章親は撥ねる毛玉を見た。

「え~……? え~っと……?」

 まじまじと見ても、こんな毛玉に見覚えは……ない……と思う。
 だが毛玉は知っているようだし、『知らない』と言うのも気が引ける。
 言葉を濁す章親に、毛玉はさらにびょんびょん跳ねつつ喚く。

「ひどーい! わしは久しぶりに章親に会えて嬉しかったのにーーっ」

「え。い、いや。だって書庫で飛び出して来て、いきなり僕に飛びかかってさ……」

 食われそうだったのだ。
 しかも毛玉に襲われたのは一度ではない。
 だが。