諸々の法は影と像の如し

「お主は、ほんに……」

 どこか呆れたように呟き、だが御魂は、最終的には、うむ、と頷いた。
 ここしばらく停滞していた悪い気が、すっと流れた感じだ。
 久しぶりに晴々とした気持ちで、章親は傍らの木箱を抱えて立ち上がった。

「さ、そろそろ屋敷内の浄化をするか」

 そう言って歩き出すと、御魂がいそいそとついてくる。
 そういえば、夕刻のこのときだけは、喧嘩中もついてきていた。

 もっともかなり離れて、気付かないこともあるぐらい後ろをついてきていたので、はたして本当に章親の浄化に付き合っていたのかは定かでないが。

「御魂様はお部屋にいてもいいんだよ?」

 何となく龍神様を連れ歩くのも気が引ける。
 ここしばらくは離れていたからいいものの、今のようにぴったりと後ろをついて来られたら、まさしく『龍神を従えている』という感じだ。
 偉そうで落ち着かない。

 だが御魂は、何故かむっとしたように口を引き結んだ。

「主には従うのが筋じゃろ」

 憮然と言う。
 何となく従う感じではなく、嬉しそうについてくるという感じなのだが。

 よくわからん、と思いつつ、章親は呪を唱え始めた。
 そのとき。

「……え?」

 章親の手の中の木箱が、僅かに震えたのだ。