諸々の法は影と像の如し

「御魂様。御魂様は、何が好き?」

 不意に問われたことに、御魂が怪訝な顔をする。

「名前ってのはさ、やっぱり気に入らないと駄目なんだ。勝手に付けられた名前で呼びつけられたってつまんないでしょ? それに、似合うかどうかっていうのもあるし。結構大事だと思うんだよね」

 少し目を見開いて、御魂は章親をじっと見た。
 このようなこと、初めて聞かれたのだろう。
 ちょっと困ったように、視線を彷徨わす。

「……好きなもの……といっても……」

「そういや龍神って、もの食べたりしないよねぇ。う~ん、御魂様は、花というよりは……やっぱり水って感じだしなぁ」

 いろいろ考えてみるが、今まで木々や草花から考えていた名前では、何となくそぐわない。

---そっか。もしかして、水が似合うって思うのは、やっぱり本質が映し出されてるってことかも。水は恵みももたらすけど、災害も起こすものね---

 穏やかなときは美しいばかりの水も、ひとたび怒れば荒れ狂う。
 うん、御魂様みたい、と章親は笑った。

「じゃ、僕がいくつか候補を見繕っておきます。御魂様も、これが良いってのがあったら教えてくださいね」

 屈託なく言う章親に、御魂は、ふ、と息をついた。