諸々の法は影と像の如し

「我は章親の御魂ぞっ。何で他の者の御魂を連れて行くんじゃっ」

「ちょっとの間じゃない。言ったでしょ、宮様のお傍近くに詰められるのは、魔﨡だけなんだからね」

 むうぅ、と口を尖らせる魔﨡に言い、さらに「ほんとにヤバかったら、ちゃんと呼ぶから」と言うと、やっと魔﨡は浮かせた腰を沈める。
 なかなかヤキモチ焼きな御魂である。

 魔﨡の機嫌が直ったところで、そそくさと章親は、紺を連れて表門に向かった。
 先の一瞬だけで、今は特に何も感じない。
 そろりと門を開き、外を覗いて見ても、特に何があるわけでもない。

 はて、と思いつつ、少し屋敷から歩いてみると、前方に人影が見えた。

「あ」

 朝靄の中から姿を現したのは惟道である。
 向こうは章親を認めても、別段変わらず近付いてくる。

「えっと。昨日はどうも」

 とりあえず挨拶をし、章親は様子を窺った。
 惟道は、じ、と章親を見た後、ちらりと屋敷に視線をやった。

「あ、もしかして、うちに用事?」

 章親が言うと、惟道は僅かに首を傾げた。

「用事、といえば用事だが……。道仙に、穢れを付けてくるよう言われた」

 さらっと恐ろしいことを言う。
 え、と一瞬固まった後、章親は慌てたように、意味もなくきょろきょろと辺りを見回した。