諸々の法は影と像の如し

 答える順番が招いた悲劇と言えなくもないような。
 もっともその術師に、中身を変えるほどの力があったかは知らないが。

「それはまぁ、運営側の段取りの迂闊さですな。一人が答えた時点で、中身を確認してみれば良かったんですよ。で、合ってたら、次は違うものを入れるとかね」

 毛玉が軽く言う。
 今更言ったところで遠い昔の話なのだ。

「で、結局その術師は都を追われたんだよね?」

「そうです。でも腰を落ち着けた播磨のほうで、それなりに重宝されたようですよ。今はもう、帰京も許されてると思います」

 ふむ、と章親は頷いた。
 疑う要素はあるが、それにしても昔の話だ。

「執念深い奴じゃのぅ。三代前の話じゃろ」

 魔﨡も呆れたように言う。
 強い恨みであれば、それこそ末代まで祟ろうが、都を追われたとはいえ、生活に窮したわけではなさそうだ。

 行く先でもちゃんと術師として活躍したのであれば、孫の代まで恨みが残ろうか。
 しかも孫など、その場面を知りもしないだろうに。

 だが毛玉が、きょとんと魔﨡を見た。

「三代前?」

「ああ。章親のじい様とやり合ったのじゃろ。そ奴だとて同じぐらいの歳であろう」

「違いますよ~」

 ぶんぶんと手を振る毛玉を、章親も、え、と見た。
 同じ年代ではないのだろうか。