諸々の法は影と像の如し

「我はお主に召喚されたのだから、一応お主が我の主となるのではないか?」

「へ?」

「強い御魂を配下に置くために召喚したのであろ? 式だってそうじゃ。普通は式など必要なときだけ作るものではないか? そのようなものに名など必要ないであろう。まして式自身に名を決めさせるなど、聞いたこともないわ。名はその者自身ぞ。名を与えることすなわち、その者を縛ることぞ。式に名をつけるのであれば、お主が強制的に決めなければ、その者を縛ることなど出来ぬぞ」

 きょとんとしている章親に、畳みかけるように言い、御魂は錫杖で、どん、と上座の円座を叩く。

「これにしてもよ。お主、己の立場がわかっておるのか? お主には主としての自覚が足りぬ」

「えっと……。あの、とりあえず座りませんかね」

 何か怒られているみたい、と思いつつ、章親はその場に腰を下ろした。
 当然上座は空けたままだ。

 ちょっと不満そうな顔をした御魂は、上座ではなく、上座の前の、章親の正面に、どすんと胡坐をかいた。
 それを見た楓が、ささっと上座に用意していた脇息と菓子を、御魂のほうに移動した。

「ありがと、楓」

 にこりと言う章親を冷やかに見、御魂は、はあぁ、と大きく息をついた。