諸々の法は影と像の如し

「この周りが穢れてたのか?」

「周りっていうか……」

 ちらりと章親が、横にちょこんと座る毛玉に目を落とすと、毛玉がずいっと身を乗り出した。

「別にこれを中心にしてたわけじゃないです。はっきりと血っていう穢れの痕が付いてたのが、それってだけで。実際に穢れてたのは、地面じゃないですかね」

「ふむ。地面だとすると、誰かが地面に血を垂らして穢したってことかな」

 首を捻る。
 わざとそのようなことをするのであれば、悪質と言えよう。
 だが単に誰かが転んだ、ということもある。

「単に転んだだけっていうのは、違うんじゃないかな。何日か続けて、一点だけの穢れが付いてたんだよ」

「そうかもしれん。でも、あそこは参拝客も多い。子供も毎日来るだろ? 毎日誰かが転んでもおかしくないんじゃないかな」

 う~む、と二人とも考え込む。
 穢れだ、と堅苦しく見てしまうから怪しいと思ってしまうのであって、ただ子供が転んだ、と考えれば、なるほどおかしいことはないのかもしれない。
 何か術を仕掛けるには小さ過ぎるし、そこまで不穏な空気は漂ってなかった。

「だんだん宮様の参拝される社に近付いてる、と思ったけど、そりゃあ、あそこに行ったら社に行くよね。徐々に近付いてるように見えたのも、偶然だったのかも」