「う~ん……。あ、ほら章親様。ここ見てください」

 毛玉に手招きされ、嫌々ながらも章親は、毛玉の手元を覗き込んだ。
 小さな石の一辺に、ほんの僅かだが色が付いている。

「う……。ま、まぁ……血に見えなくもないけど……」

 如何せん小指の爪の先ほどの石の、さらに僅かな部分だ。
 見たくない、という心理も手伝っているのかもしれないが、はっきりとはわからない。

 が、毛玉は手柄とばかりにその小石を摘むと、それを持ったまま顔を上げた。

「これを持って帰れば、何かわかるかもしれません」

「い、いや……」

 ずい、と血の付いた小石を差し出され、章親は後ずさった。
 だがこれはちょっと調べたほうがいいかもしれない。

 守道に見せれば何かわかるかも、と思ったが、思い切り血の付いた小石を受け取る勇気はない。
 章親は懐から懐紙を出すと、それに呪を施して、石を包んだ。