【短】今日だけは君のもの


全然、状況が飲み込めない。

だってさっき、あたしも、梅吉にフラれたよ?



「中学んときだってさ、あんなに毎日わかりやすくアピールしてた俺の気持ち、完全に無視だし」


え?


「杏ちゃんが、俺みたいにカッコ悪い男は彼女できないって言うから、俺がんばって勉強したり、外見に気ぃ配ったり……」


え? え?


「だいたい、“そんなんじゃ彼女できない”って発言自体、俺のこと眼中にない証拠じゃん」


「梅吉、ちょっと待って……」


「案の定、卒業したら全然連絡くれないし」


「ちょっと待ってってば!」



やっとまともに声が出た。

顔中が火傷したみたいに熱い。

あたしは、勇気を出して聞いてみた。


「つまりその、梅吉は、あたしのこと……好きだったってこと?」


「……そうだよ」


憮然と答える梅吉。

拗ねたみたいに、唇をとがらせて


「でなきゃあんな約束を口実にしてまで、わざわざ会いに行くかよ」



……おかしい。

あたしの目、変だ。

梅吉のがうつったのかな。


涙が、止まらないよ。