「俺のこと、好きになれよ」

顔を近づけて、私の耳元でささやく。

知っている。これは、誰もが憧れるシチュエーションだと。

けれど、私はここで騙されるわけにはいかないのだ。

「無理。そういうの受け付けない」

「お前、結構話し方キツくなったな。
まぁ、何年もたったしそんなもんか」

小学生でこんな話し方はしないだろう。
元の話し方とはいえ、私も成長している。

「はいはい。言いたいのはそれだけ?
わたし、遥香と咲希を待たせて……」



「…………っ⁉︎」



一瞬、理解できなかった。
私は翔太に、キスされていたのだ。