シャンパントリュフはキスの魔法

「そう。俺が『今年は誰からもチョコレートを受け取らないことにしたんだ』って言ったのは、今年はどうしてもほしい女性がいて、その女性以外からはチョコレートをもらいたくないってことなんだ」

 主任に本命の女性ができていたなんて……この一年、そばで仕事をしてきたけど、気づかなかった。

 スカートの裾を握る手に力がこもった。

「その方からは……チョコレート、もらえたんですか?」

 そう問いかける声が震えそうになる。

「うん、もらえたよ」

 そうなんだ。じゃあ、今ここで私のチョコレートなんかつまみ食いしなくてもいいのに。

 恨めしくなってチラリと主任を見上げた。目が合った主任が、ふっと微笑む。

「今さっき」
「今さっき?」
「うん。河村にもらった。河村からのチョコレートがほしかったんだ」

 主任の右手が伸びて私の左頬に触れる。

「河村以外、いらない」

 私以外からチョコレートがいらないの? それとも私以外いらないって……こと?

 そんなことを考えてどんどん体温が上がる。私の顔を覗き込んで主任が言った。