彼女に彼がいるだなんて初耳だった。

その彼のために
できるだけかわいくしようとする
彼女がいることを知って
俺の心に激しい嫉妬が広がっていく。

彼女は、彼を好きなんだと、
俺のことはなんとも思っていない
-ただの友達なんだと。

できるだけそっけない返信をして
できるだけ気付かれないように嘘をついて
メールをやめた。

そっと携帯を閉じるとその閉じた手で
俺は携帯をギュッと握る。

携帯はとっても硬くて、
握りしめれば握りしめるほど
手が痛くなる。

でも、握りしめるのをやめようとはしなかった。
俺は握りしめなければ
何かひどいことをしそうになっていた。