「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…ッ」


女がトンネルの中を走っている。"何か"から逃げているようだが、その肝心な"何か"が見えない。女は時々後ろを振り返りながら、走ることをやめなかった。

「っ!?何!?」


女が急に立ち止まった。もうすぐトンネルの出口だと言うのに、"見えない壁"に塞がれたようだ。


「何で!!どうして!!」


「もう逃げられねぇぜ…」


「っ!!」


女が戸惑っていると、後ろから声が聞こえた。蜃気楼のように影がゆらゆらと揺れている。


「いや、…来ないで!!」


「女のそう言う顔が、一番好きなんだよなぁ…女の肉は上手いからなぁ…」


影はそんなことを呟きながら女に近付く。女は恐怖におびえ、涙を流す。


「いや…いや…っ」


「ゲヘへ…ほんじゃあ、いただきまーす!!」


「いやぁぁぁぁぁ!!」


女の体から血飛沫があがり、あたり一面血の海になった。