運命の恋、なんて。

「そうなんだけど…みんな、友達の家に泊まるって。ノンちゃんもいるから、いいよね?」



ノンちゃんの名前を出せば、安心するかも。



「ダメよ」



「そんな…」



「人は人!うちはダメよ。すぐに帰って来なさい」



もう、帰って来なさいの一点張り。



まさか、ここまで頑固とは。



「あたしだけ、帰るの嫌だよ。いつも他の子は、友達の家を行き来してるのに。どうしてうちはダメなの?」



「外泊なんてまだ早いから。友達ってどの子?しつこく誘ってくるなら、その子の親に今から電話するから、電話番号を教えなさい」



なんてこと言うの?



もしそうだとしても、友達の親に文句言うなんてとんでもないよ。



「学校の友達じゃないの。もう、泊まる。ねぇ、お願いだから…いいよね」



「ダメって言ってるのが、わからないの!?娘が行方不明だって、警察に電話するわよ」



警察!?



そこまで言う?



大げさに言ってるんだろうけど、説得できないもどかしさとやるせなさが一気に押し寄せる。



八雲くんは、心配そうにあたしを見ている。



頑張らなきゃ…だって、今日は一緒に過ごしたいよ…。



「ちょっと…待ってて。友達に話してみる。後でかけなおすね」



電話を切ったときには、疲れきっていた。



そんなあたしを、八雲くんがギュッと抱きしめる。