運命の恋、なんて。

「お~い、こっちこっち」




え……。




声のする方向を見ると、とある家から茶色い作業服を着た若い男の人が手招きしている。




高校生ではなさそうだけど、もしかしたら八雲くんの代わりにあたしを呼びに来た?




ふらりと近寄る。




ニヤっとした顔でジロジロと上から下まで眺められ、ちょっとゾッとした。




「あの…八雲くんは……」




「胡桃ちゃん!」




ハッ。




後ろから大きな声がして、振り向く。




そこには慌てた顔でこっちに走ってくる八雲くんの姿があった。




「八雲くん!遅れてごめんね」




「そんなこと、どーでもいい。行こう」




半ば強引に、めいっぱい手を握られる。




そして反対方向に歩きだした。




「痛いよ、そんなに引っ張らないで…」




手を握られてドキっとしたけど、引っ張る力が強すぎて思わず言ってしまう。




「あぁ…力強かった?ごめんな」




今度は、優しくそっと握られた。




それはそれで、困ります…。




ひとりでドキドキしながら、その手に包まれる。




八雲くんは何軒かとなりの家のドアを開け、そこに一緒に入った。




あ……そうだ、この家だ。




玄関に立ったときに見えるレイアウトに、見覚えがある。




ってことは、さっきのって…。