運命の恋、なんて。

「ベンチ…って、ここじゃ寒いよな」



「ホントに大丈夫だから。すぐに帰るね」



「俺こぐし。後ろ乗れって」



自転車を指し、乗るよう促される。



「ホントにいいの」



「バカだな、こーいうときこそ頼れよ」



突然、八雲くんの手があたしの手に触れた。



大きな手が、しっかりと指一本一本を絡めとる。



ギュッと…握られた手から、温もりが伝わってきた。



頭が痛くてそれどころじゃないはずなのに、ドキドキしてきて、それでいて安心感に包まれる。



家まで痛みに耐えながら乗る自信もないし、駅のホームで横になって、痛みをおさまるのを待つか。




どの選択肢も、今のあたしにはキツイ。