バカだなぁ。ぶっ倒れるまで頑張るなんて普通できねーよ。
ガラッ
「若菜!」
息を切らして入って来たのは洋一郎さんだ。
「っ…お前ら…運んでくれてサンキューな」
あの日から、洋一郎さんとは全然会っていなかった。
俺たちも洋一郎さんもお互いのことを避けていたから。
あの日の洋一郎さんほど、怖いものはない。
何が起きてるのかわからなくて、気づいたら若菜が洋一郎さんを止めていた。
俺たちはその場から逃げるように去ったけど洋一郎さんはずっと殺気をこちらに向けていた。
今まで感じたことのないほど、怒りがこもった殺気。
日比谷に殺気を向けられた時、洋一郎さんと同じものを感じた。
でも、2人とも怒りの原因は俺らと若菜の問題についてだってことはハッキリしてる。
同じ瞳をしていたから。
「若菜…。無茶しやがって…。」
若菜の頭をそっと撫でながら優しく見つめる洋一郎さん。
この人は、どれだけ若菜のことが好きなんだろう。
先代の総長達からよくこの人の話を聞かされた。
冷静沈着で何事にも動じない強い人だけど、家族や仲間のことになると熱くなる。中でも絶対に手を出してはいけないのはイトコの女の子。その子に何かあったらあの人は街1つ破壊しかねない。
イトコの女の子って…若菜のことだったんだ。


