「若菜。スゲー嬉しそうだ。」
「あいつ…次の選抜も出る気かな?」
「…でるだろうな。バカだから。」
「はぁっ…だよな…バカだもんな。」
あぁ。あいつはバカだ。大バカだ。
だから次も絶対に出るというだろう。もう止めても無駄。
でも、誰もそこまで心配はしてないみたいだ。
それはきっと、今のありえない走りとあの満面の笑みを見たから。
そして、選抜リレー。
俺と李人も選手として、待機場所へと移動する。
選抜は男女4人ずつで、アンカーは俺。
俺にバトンを渡すのは若菜だ。
チラッと若菜を見ると下を向いたまま足を押さえていた。
やっぱり痛いんじゃねーか。無理すんなよ。
「選手の方、位置についてください。」
最初のランナーが位置につく。
「よーい」
パァン
一斉に走り出した。
「綾人。」
真剣な顔で若菜は話しかけてきた。
「私がバトンをパスするとき、前だけ見て全力で走って。何があっても振り向かずに前だけを見て。」
多分若菜は、俺にバトンを渡したらそのまま倒れるんだろう。
そのくらい、足が重症なんだろう。
「わかった。」
「ありがとう!」


