「理事長。今日はもう藤堂を連れて帰ってください。後のことは全部俺に任せて藤堂のそばにずっといてやってください。」

「…じゃあ、頼むな。」

「はい。」

理事長は藤堂を抱きかかえ帰って行った。

はぁ。

俺、面倒くさいこと嫌いなはずなのに。

なんでか自分から面倒ごと引き受けてるし。

いや、多分…あの人のあんな弱々しい姿をこれ以上見たくなかったんだ。

いつも冷静で堂々としてて迫力のあるあの人が

あんなに弱々しい顔をするなんて

あんなに悲しそうに笑うなんて

それだけ藤堂が大切ってことなんだろうけど。

俺は目を背けずにはいられなかった。

見ているだけでとても辛くなったから。

ったく。

なんでこんなことになっちまうんだよ。